犬の平均睡眠時間を知っていますか?環境や年齢・犬種によって違う?

人間同様、動物にとって睡眠は必ず必要なもので、睡眠中は身体や脳を休めるだけでなく、情報処理やホルモン分泌といった作用で身体のメンテナンスを行う時間でもあります。
犬も人と同じく睡眠はとても大切なもので、良質な睡眠をとることで健康が維持されます。
しかし、犬にとっての良質な睡眠とはどのようなものでしょうか。

1.犬の成長と睡眠時間の関係は?



近年では犬の睡眠時間についての研究も進展し、人と比べて非常に長い睡眠が犬には必要であることが明らかになりました。
成犬に必要な睡眠時間は12時間~15時間であるとされています。
大型犬の方が消費エネルギーが高いので、小型犬に比べて平均の睡眠時間は少し長いというデータもあります。

この睡眠時間に比べて更に長い睡眠時間が仔犬には必要です。
仔犬は成長段階にあり、多くの情報を処理し学習しています。
更に好奇心旺盛に動き回るため、とてもエネルギーの消費が激しいです。
そのため、脳内の情報処理と体力の回復に費やす時間が多くかかるため睡眠時間が長くなります。
産まれたばかりの仔犬は1日に22時間もの時間を睡眠にあてることもあります。
22時間もの睡眠は長すぎるように感じるかもしれませんが、仔犬にとっては睡眠の間に少しだけ活動をするぐらいが体にとって楽で成長にもよい影響を与えます。
また老犬も睡眠時間が長くなりますが、これは幼犬とは理由が異なり、体力の衰えとともに多くの休息が必要となるからです。
このように犬の睡眠にはその成長度合いと年齢が大きく影響を与えています。

2.犬種ごとの睡眠時間



・体が大きい犬の方が、多くの睡眠を必要とする


前述のように成犬は12から15時間ほどの睡眠を必要としますが、犬種によっても睡眠時間は異なってきます。

室内犬として飼われるチワワやトイプードルは12時間程の睡眠が必要で、類似した生育環境とサイズであるコーギーやパグなども同じくらいの睡眠を確保しなければなりません。

これに対して超大型犬とよばれるマスチフやセントバーナードは睡眠時間が長く、柴犬やシープドックのような作業犬は睡眠時間が10時間程と短くなります。
またシベリアンハスキーやシェパードなどの作業犬は大型にも関わらず睡眠時間が短い傾向にあります。

このように活発な行動をとる必要性がある犬種は睡眠時間が短く、大型犬は長い睡眠時間を必要とするものが多いです。

また人と同じように、犬の睡眠にも個体差があり、短い睡眠時間しか必要としない「ショートスリーパー」や長時間の眠りが必須の「ロングスリーパー」などの体質差があることが研究で明らかにされています。

3.犬の睡眠は浅くて長い



・すぐに襲われても対応できるようにする野生の本能から、浅い睡眠が長い

犬の長い睡眠時間を分析すると2つの睡眠パターンがあることがわかります。
体は休まっているが脳が起きている状態であるレム睡眠と、体も脳も休んでいるノンレム睡眠です。
レム睡眠は浅い眠りともいわれ、夢を見ているときはこの状態です。
脳は起きているので、少しの物音でも起きることができます。

人の睡眠では睡眠の80%がノンレム睡眠で、残りの20%がレム睡眠であると分析されています。
これに対して犬の睡眠は、80%がレム睡眠で、ノンレム睡眠は残りの20%となっています。
そのため犬は人に比べて些細な物音や刺激で目覚めやすくなっています。

・犬が夢を見ている時は起こしちゃダメ!

眠っている最中に犬が寝言を言う時は、犬がレム睡眠下にあって夢を見ていることが考えられます。
これらの症状は人の寝言などと変わりないものなので、そっとしておきましょう。
無理に起こすと睡眠が阻害され、子犬の場合には成長ホルモンの分泌に悪影響を与える場合があるからです。
また、犬がお腹を出した無防備な状態で寝ているときは、睡眠全体の
20%であるノンレム睡眠に入っている場合が多いです。
犬の健康のためにもそっと寝かしておいてあげましょう。

4.犬の睡眠が長い理由



・先祖が夜行性のオオカミだから
このような長く浅い睡眠のとり方は犬が狩りをする動物であったことが基になっています。
野生のオオカミを祖先とする犬は、狩りをする動物です。
他の動物を走って捕まえるためには多くのエネルギーを消費します。
そのため犬は消費した体力を回復するために長い睡眠時間を確保する必要性か産まれ、活動の合間にどこでも眠るようになりました。
また、自らが襲撃される場合があるため、いち早く危険を察知できる能力が野生の犬には必要です。
微小な刺激でもすぐに気づいて行動ができるように、睡眠は浅いレム睡眠が多くなることが求められました。こうして犬の睡眠は長く、レム睡眠が主体となったと考えられています。

また、睡眠の内容には犬が夜行性の動物であったことも影響していると考えられています。
効率的に狩りをするには明るい日中よりも、身を隠しやすい夜間の方が犬には都合がよく、そのため夜行性の動物として進化してきました。
ですが、犬が人と暮らすようになることで、人の生活時間帯に合わせて行動をするようになり、従来活動をしていなかった昼間に加えて、人が眠る夜にも睡眠をとるようになりました。
そのため睡眠時間が長くなったともいわれています。

5.犬にとってよりよい睡眠環境とは?

(1)快適な寝床スペースを確保してあげる


人と生活を共にする犬は、人に合わせた睡眠をとらせると睡眠不足に陥ってしまいます。
人の睡眠時間は犬に比べて半分程の時間なうえに、犬は夜行性の動物だからです。
体が眠りを欲する時間帯が人間の活動時間なため昼寝では深く眠ることが難しく、人が眠る夜に睡眠をとるだけでは睡眠の質も量も足りません。
そのため沢山眠っているように見える犬でも、本当は睡眠時間が足りていないことがあります。
飼い犬の健康のためには睡眠環境を整えて良質な睡眠がとれるようにしてあげる必要があります。
では、犬にとって良い睡眠環境とはどのようなものでしょうか。
犬に見合った睡眠時間を確保することは当然ですが、犬が眠りやすい場所はどのような場所であるかを知っておく必要があります。
快適な寝床の条件は下記のとおりです。

  1. 犬専用のスペースを用意し、サークルやケージなどで囲う。
  2. 寝床は適切な温度と温度が保てる場所にする。
  3. エアコンなどが近くにある場合には、直接当たらないように屋根を作る。
  4. 敷物はまめに洗濯するなどして、常に清潔な状態を保つ。


愛犬が可愛くて一緒にペッドで眠る飼い主も多いでしょうが、犬の睡眠には良い影響を与えません。
人と出会いパートナーとなる以前の野生の犬は、地面に掘った穴倉を巣とし、そこで寝ていました。
その性質はペット化した現在でも変わることなく受け継がれており、広い室内のベッドの上よりも、囲いがあって狭く薄暗い場所を犬は好みます。
このような場所を寝床として用意してあげることで、犬は安心して眠れるようになります。

(2)スキンシップをとってストレスを軽減する


また、寝床の問題以外にも犬は生活環境によって睡眠のバランスを崩しやすい動物です。
犬はストレスを感じやすく、環境の変化に非常に敏感です。
そのため引っ越しなどで住環境が大きく変化したときなどに不眠症状を起こしやすいです。
加えて運動不足のような場合にも、ストレスからしっかりとした睡眠をとることが出来なくなります。
起きている時間には散歩に連れていき沢山遊んであげることで、しっかりとした睡眠をとることができるようになります。

特に家に迎えいれたばかりの子犬には環境に馴染ませることが大切です。
子犬にストレスのない良い睡眠をとらせるためには、寝床の確保も大事ですが、あまり構いすぎずに放っておいてあげることが大切です。
飼い始めて1週間ほどはあまり触れないようにし、睡眠をとっているときはしっかりと眠らせてあげるようにしなければなりません。
子犬から遊びを仕掛けてきたときには、疲れさせない程度に遊び、甘えたそうな様子があるときには声をかけながら撫でてあげましょう。

犬にとって安心して眠ることのできる場所にし適切な飼い方をすることで犬は良質な睡眠がとれるようになります。
快適な睡眠をとることは躾にも関係しており、睡眠時間を確保して良質の眠りを取らせることで、ストレスの少ない躾のしやすい犬に育ちやすいです。
睡眠不足で集中力が続かない状態で躾やとレーニングを行ってもうまくいかず、犬も飼い主も更にストレスをためる悪循環に陥ってしまいます。

眠る時間が長いのに、起きている時間に元気がない場合には、このような寝床の環境を整えてみることをお勧めします。
それでも改善しない場合には、病気や寄生虫などの問題が考えられますので獣医師に相談してみるようにしましょう。

まとめ

犬は人に比べて大変長い時間を睡眠に費やす動物です。
その睡眠時間は年齢が若く大型の犬種程長くなります。
それに対して作業犬のように特定の仕事や活動が求められる犬種や小型犬は必要とする睡眠時間が短くなります。
犬によっての睡眠時間に個体差はありますが、おおむね12時間から15時間ほどが犬には必要です。

犬の睡眠時間が長いのは、オオカミを先祖とする野生の名残がレム睡眠の時間を長くしていることに加え、人間との生活で夜にも眠るようになったためです。そのため人と生活する飼い犬は睡眠不足となりやすく、安心して眠ることのできる環境を作ってあげる必要があります。

犬の睡眠環境を整えるにはまず寝床の環境を整えることが大切です。
犬が好む、狭く囲われた薄暗い環境を寝床として作ることで、良質な睡眠をとりやすくなります。
また飼い方による生活環境にも気を配る必要があります。
引っ越しをした場合や新しく家に犬を迎えいれた場合には、安心して過ごせる環境だと感じられるまで、刺激をしないストレスのかからない生活をさせてあげましょう。

とはいえ、成犬にも関わらず20時間以上眠る場合や、夜中に睡眠をとらない犬は、何らかの病気の徴候を示している可能性がありますので、獣医師に相談してみることをお勧めします。