犬の生理について理解していますか?~周期・期間・犬種によるちがい~

一般的に、犬の生理は「ヒート」と呼ばれ、発情期を迎えると出血があります。 人の生理とは違ったメカニズムなので、誤った認識は他の飼い主さん達へ迷惑をかけてしまうことも。 犬の生理(ヒート)について正しい知識をつけましょう。

1.いつから、いつまで?犬の生理の周期と期間を知ろう

犬の生理周期や期間を知るためには、サイクルを知る必要があります。

犬の生理毎月くるわけではありません。初めての生理が来てから小型犬は年に2回から3回、大型犬は年に1回から多くて2回という周期で繰り返していきます。
また、1回の生理で、発情前期・発情期・発情後期・無発情期の4期に分かれています。

発情 期間
発情前期 約7日~10日
発情期 約4日~12日
発情後期 約60日~100日間
無発情期 約50日~80日

発情前期の特長

卵子が育ち始めた影響で、陰部が腫れたように大きく膨らみ、出血が始まります。
中には、びっくりしてしまうくらいの出血がある子や、おっぱいも腫れて大きくなる子もいるそうです。

また、特に小型犬にありがちですが、出血量が少なかったり自分で血を舐め取ってしまい、飼い主さんが生理に気が付かないというケースもあります。
大型になるほど出血量も多いので、犬用の生理パンツを履かせましょう。

そして、この期間の犬は、おしっこを頻繁にするようになったり、飼い主さんの言うことをきかなくなるといった行動をおこすので注意しましょう。
おしっこに含まれるフェロモンから雄犬が寄ってきてしまいますが、この時期はまだ雄犬を受け入れられる段階ではありません。

発情期の特長

発情期から2~3日で排卵がおき、その前後約5日間が妊娠ができる時期になります。
しっぽを傾け、陰部を見せる仕草をします。

ここで一番注意する点は、オス犬との接触に関する事です。
オス犬を許容できる時期にはいるので、望まない妊娠を避けるなら特に注意しなければなりません。

犬には「パピー」と呼ばれる時期があり、一般的には1歳未満の子を指します。
この年齢を人間で換算すると、およそ17歳くらいなので、もし初ヒート時に妊娠をしてしまうと、まだ子供の状態での妊娠・出産は身体的な負担を重過ぎるため、生まれてくる子犬の安全性を考慮したとしても危険が高いです。


犬によっては出血量が少なくなり、発情期が終わったと勘違いをしてしまう事がありますが、普段から外飼いしている犬も、この時期だけは室内にいさせて、他の犬が入ってこないような環境にしたり、散歩も他の犬が多い時間帯を避けるといった工夫が必要です。
多頭飼育をしている家庭やオスの犬がいる家庭の場合は、その期間はメス犬と別の部屋に移動させて接触させないようにするなどの配慮をしましょう。

フェロモンを察知したオス犬の執念は、窓を破ったり、2階から飛び降りるほどといわれています。

発情後期の特長

発情期が終わると、発情後期にうつります。
この時期になると、陰部の腫れなども引き、身体が徐々に元の状態に戻ります。しかし、この時に気をつけることは、「偽妊娠(創造妊娠)」です。

哺乳類は人間も含めて通常、妊娠が成り立たなかった場合は黄体ホルモンの分泌が止まります。しかし、犬の場合は妊娠が成立しなくても黄体ホルモンが分泌され続ける期間が長いので、偽妊娠つまり想像妊娠が起こる場合もあります。

大抵の場合はそのままにしておけば自然に終わりますが、巣作りをするような行動をしたり、中には母乳が出る子もいるため「乳腺炎」のリスクも上がったり、子宮の病気になってしまうこともあります。
少しでも妊娠のような症状が出た場合にはすぐに動物病院で診てもらうようにしましょう。

また、発情後期も生理の一貫です。避妊をする場合は発情後期が済んでからにしましょう。
出血がない状態であっても、血管が太くなっているため避妊手術をすることはできません。

無発情期の特徴


発情休止期とも言われる無発情期は、黄体ホルモンの分泌が終わった、最も落ち着いた期間です。
次の発情期(3~8か月後)までこの状態が続きます。
この間、体の中では小さな卵胞が作れられて少しずつ育ち、次の生理の準備がされています。
避妊手術する場合は、この期間に行いましょう。

2.初ヒートの時期や出血の量など犬種による生理の違いって?


初ヒートとは、犬にとっての初めての生理のことです。

この初ヒートの時期は、犬の大きさによって異なっており、小型犬の場合にはおよそ生後6ヶ月前後が多く、大型犬の場合には生後10ヶ月程度から始まることが多いです。しかしあくまでも平均的なものなので、個体差があります。

犬種によっては生後4ヶ月で初めての生理を迎える子がいたり、生後1年以上過ぎてからという子もいます。

しかしどんなに遅くても生後1年半までには初ヒートを迎えるのが通常なので、それ以上を過ぎてもこない場合には一度動物病院で診てもらいましょう。


初ヒート前になると、多くの犬は予兆というものが現れます。
食欲の低下や落ち着きがなくなるといった通常のヒート前の変化だけでなく、人の動きや音、においの変化にも敏感になります。この時期は、犬にとってストレスをいつもより感じやすくなる時でもあるので、その子にとって落ち着ける環境を整えるようにしましょう。

なお、初ヒートから3回くらいまでは周期や期間が不規則になることも多いので、安定してヒートが訪れるようになるまでは定期的に診察を受けることをオススメします。

3.生理中のお手入れや注意点

犬の生理も人間と同じように、精神的にも肉体的にもナーバスになっています。もちろん個体差があるので、なんともなく元気な子もいれば、だるそうにしている子もいます。

毎日お散歩に行っていたのにある日お散歩を嫌がるようになるというケースもあります。

いつもと変わらないようであれば、普段通りに連れて行っても問題ありません。しかし発情期の最中は他のオス犬を興奮させてしまう可能性もあるので、自分のペットだけでなく周囲の犬へのストレスにも繋がります。

出血量に関しては、普段自分で舐め取ってきれいにしているようであれば、特別にケアは必要ありません。

もし出血量が多いのであれば、犬用の生理ナプキンなども売られているので、状況に応じて使うと良いです。

しかし、通常の犬用ナプキンは短時間の使用が原則となっているため、長時間の装着は避けましょう。コツとしてはお散歩の時だけに使うといった方法がオススメです。

また、生理中は膣や子宮内の自浄作用が低下するので感染症の予防には特に気を配るようにします。

生理と似たような症状で、「子宮蓄膿症」というものがあります。子宮内に炎症がおき、溜まった内容物が身体の外に排出されず、そのまま陰部に膿として溜まってしまうという恐ろしい病気です。最悪のケースになると死亡にも繋がるので、飼い主さんは生理か病気かを見分けられなくていけません。この病気の症状は食欲の低下や吐き気・嘔吐があり、病状が進むと子宮内の細菌が他の臓器にまで移って多臓器不全を起こすことも少なくありません。治療法は、子宮と卵巣の全摘出になります。通常の避妊手術と同じ方法になりますが、病気の進行によって体力が落ちていたり、他の臓器も弱っていると術後の経過があまり良くない場合もあります。

そのほか、子宮内膜症・乳腺腫瘍といった病気のリスクもあるので注意しましょう。

もし、飼い主さんが妊娠を望まない場合には避妊手術を検討することも選択肢に入れましょう。

避妊手術をすればこのようなメス特有の病気のリスクを軽減することは可能になります。しかし、一方でデメリットも存在します。

避妊手術をすることによって、骨肉腫・甲状腺機能低下症・骨粗しょう症といった病気のリスクは上がります。さらに太りやすくなる体質にもなるので、生活習慣の見直しやウェイトコントロールが大変です。

まとめ

犬などの動物は人間と違って、言葉を発することができません。

そのため、生理周期によるホルモンバランスの変化に心がうまく適応できない場合は、そのままストレスにもなってしまいます。

飼い主さんは、愛犬の状態をよく観察して、過剰に心配しすぎることなく、少しでも快適に過ごせるような関わりを心がけましょう。