漢方で犬の病気は治る?漢方のメリットデメリットとは

漢方薬といえば、苦くて飲みにくい顆粒状の薬を思い浮かべ、犬に飲ませるイメージがあまりないですよね。

犬の医療においても、漢方薬を活用する東洋医学よりは、身体の悪い部分をピンポイントで治療する西洋医学のほうが浸透しているのが現状です。

でも、犬の症状によっては、東洋医学の治療の方が効果があるという場合もあるんです。
今回は、東洋医学の治療の1つ、漢方薬について紹介します。

 1.普通のお薬と漢方薬の違いは?

動物病院での治療方法や処方されているお薬は、基本的に西洋医学に基づいています。
症状が出ている原因をピンポイントで治療する性質のため、作用は速やかに発現し効果も強力です。
しかし、副作用がおきる場合や、長期の服用でお薬が効かなくなってくるといった場合があり、使用方法や内服期間を厳密にする必要がある薬も多いです。

それに対して東洋医学に基づく漢方薬は、動物が本来もっている自然治癒力に着目しています。
身体全体に働きかけ、バランスを整えることにより症状を改善していくのです。
西洋医学に基づく薬と比較すると、効果が出るのに時間がかかる傾向があります。
効能は緩やかではありますが、副作用は少ないです。

また、薬を飲むのが苦手な犬にもおすすめです。
生薬由来の薬であるため、犬にとってはなじみのある成分であり、比較的飲んでくれやすいそうです。
独特の風味や苦みが残る場合は、ドッグフードやシロップ、内服補助フードに混ぜて内服する方法もあります。

ちなみに、通常のお薬同様、漢方薬にも粉末・錠剤・液剤など内服方法が複数あり、犬が飲みやすいものを選ぶことが可能です。

2.漢方薬って?

漢方薬は、自然界に存在する植物や動物、鉱物などの「生薬(きぐすり・しょうやく)」からできています。
そのまま使用したり、加工(カット・乾燥・刻む・叩く・蒸す兼ねるなど)することで必要な成分を凝縮させ、症状に合わせて組み合わせて作られています。

生薬の効果は、犬が胃腸を整えるために草を食べる行動に近いでしょう。
人間だと、体を温めたり、胃腸の調子を整えるために生姜を積極的に摂ることがありますね。
漢方薬はそれらの生薬の特長を生かし、組み合わせて調合されます。

自然のものを元に作らているため身体になじみやすく、副作用が少ないのが特徴です。
間違って飲んでしまった時にも、副作用の心配が少ないため安心して利用できますね。

良いことばかりのように思える漢方薬ですが、副作用が全くないわけではありません。
漢方薬に含まれる生薬の中にアレルギーとなるものがある場合、アレルギー症状を起こしてしまう可能性もあります。
身体に合わない場合には体調を崩してしまうこともあるそうです。
また、生薬自体が”良いもの”でないと、望まれる効果がでない場合があります。
その場合、生薬が悪かったのか、処方した漢方薬が間違っていたのかの判断がむずかしいでしょう。

そして、西洋医学に基づく薬の副作用を心配するばかりに、それらを全く飲まずに漢方薬だけで病気に対応することもよくありません。
漢方薬を飲むだけで、劇的に症状が回復する!といった効果を期待することは難しく、漢方薬のみに頼るのではなく、病気の状態や体調に応じて東洋医学と西洋医学を併用していくことが大切です。

それぞれのメリット・デメリットを考え、お互いの治療方法でデメリットを補ったり、良点を組み合わせることで効率良く治療をすることができるでしょう。

3.どんな治療に効果的?


様々な病気に対応

どんな病気に対しても漢方は適応になるという意見もあるほど、様々な病気に対応しています。
そのため、薬物治療をやめたい・手術は避けたい・抗がん剤治療を避けたい・他の病院で治療ができないと言われた場合にも効果が期待できます。

漢方薬を使用する事例として代表的なものが慢性関節炎や椎間板ヘルニア、腰痛などの神経根症状の治療です。

近年、フローリングで滑って関節を痛めたり、肥満によって関節への負担が大きくかかることで、関節炎になる犬も増えています。
また胴体の長いダックスフンドなど、椎間板ヘルニアになりやすい犬種もいるでしょう。

そういった症状に対して漢方薬を内服することで、血液の循環が良くなり、患部周辺のむくみや腫れを抑えます。
それによって痛みも抑えられるのです。

他にも、漢方薬は皮膚疾患(脱毛、湿疹、アトピーなど)肝臓病腎臓病てんかんなど多くの病気に対して効能があり、体質改善が期待できます。
ネット上では、炎症性疾患でステロイドや免疫抑制剤をずっと使用しなければならないと診断された子や、角膜潰瘍で手術が必要と言われた子などの症状が改善されたという例もありました。
それくらい、様々な疾患に対して可能性があるのです。

また、強力なお薬を長期間使うのは心配、といった慢性的な病気に対しても漢方薬は使用しやすい薬であると言えるでしょう。
特に皮膚系疾患は慢性化もしやすいため、皮膚トラブルが多い柴犬やゴールデンレトリバー、フレンチブルドッグやダックスフント等の犬種は、漢方薬を検討すると良いかもしれませんね。

病気じゃなくても使える!

漢方薬は病気でないと内服できないわけではありません。
原因が明確ではない不調などに効果が期待できることも多いです。
愛犬の虚弱体質をどうにかしたいという体質的な問題に対して、身体全体の調子を整えることは有用でしょう。

また、夏場や年齢的な問題食欲不振になったり、最近元気がなくなってきたという場合、病気ではないからお薬や点滴はちょっと・・とと躊躇する飼い主さんも多いでしょう。
漢方薬で胃腸を整えたり、体の調子を整えてくれたら安心できますね。

他にも、ダイエットのサポートとして使用することもあるそうです。

5.漢方薬はどこで買えるの?

基本的には、漢方薬に対応している動物病院で処方してもらうのが良いでしょう。
中国の医療では、五行思想という自然哲学の考え方があります。
体内の気・血・水をうまく巡らせるために肝・心・脾・肺・腎の 五臓が働いていて、健康を保つためにはこの五臓の働きを整えてあげることが大切です。

また、症状を判断するために、という考え方があります。
実とは気が盛んなこと、虚は気が不足していることです。

このような、五行や虚実を診ながら漢方薬を処方する必要があるので、同じ病気であってもその子その子により漢方薬の処方がかわってきます。

東洋医学は奥が深すぎるので、知識のある獣医さんへ相談するのが無難でしょう。

ネットや動物病院では、漢方を元に作られたサプリメントなども販売されています。
気軽に使えて便利ですが、あくまでも体調維持のサポート的役割になるので、治療として服用するのは難しいでしょう。

まとめ

漢方薬は自然界の物質が原料になっており、副作用が少ない犬にとって優しい薬であることが分かります。
西洋医学に基づく薬と合わせて、医師の指示に従い使用することで、より愛犬の治療や体質改善に役立つことでしょう。愛犬のためにぜひ利用したい薬です。

しかし漢方薬のみに頼るのではなく、日ごろから愛犬のことを考えた生活を送っていくのも大切です。
食事やおやつの量を気を付け、適度な運動をさせることも必要でしょう。
また愛犬が年齢を重ねて身体が不自由になった時には、段差をなくしたり部屋を整理するなどの環境に配慮することも重要です。

愛犬と健康で楽しい日々を過ごせるように、漢方薬を利用した治療や体質改善を考えてみてもよいかもしれませんね。