トイプードルはヘルニアになりやすいの?ヘルニアの症状とは?

その愛くるしさとモコモコの毛並みから、女性を中心に大人気の犬種・トイプードル。
見た目どおりデリケートな彼らですが、実はヘルニアになりやすい犬種と言われています。
一体どんな症状が出て、何をすれば防げるのか調べてみました。

1.ヘルニアってどんな病気?

白いトイプードル
そもそもヘルニアとは、体内の組織や器官があるべきところからずれてしまったり飛び出してしまったりする病気のことです。
放っておくとさらに様々な症状を引き起こします。
人間も多くの人が抱えている病気ですね。
さらに、ヘルニアの起こる場所によっても症状が異なり、それぞれ別の名前がつけられて区別されています。
  • 鼠径ヘルニア

  • 臍ヘルニア

  • 食道裂孔ヘルニア

  • 会陰ヘルニア

  • 椎間板ヘルニア


上記の5種類があります。
椎間板ヘルニア以外は、臓器がお腹の中を保護する組織の隙間から飛び出してしまう病気です。
特に2~6歳の犬によく起こると言われているトラブルの一つです。

2.種類別の症状をご紹介

診察中のトイプードル

(1)鼠径(そけい)ヘルニア

そけい部の隙間から腸が飛び出してしまった状態です。
そけい部とは足の付け根付近のことで、人間で言うビキニラインを指しています。
このヘルニアが進行すると腸が正常に戻らず鬱血し腫れてしまい、体が発熱、嘔吐や食欲不振など、腸閉塞と似た症状を引き起こします。放置すると腸管が壊死して腐ってしまい、最悪の場合腹膜炎を起こして命に関わる状態になることもあります。
先天的な原因はいまだ不明のようですが、遺伝が関係していると考えられています。
後天的に発症した場合でも、そけい部に生まれつきの異常があり、これが素因となっていることがほとんどとされています。

(2)臍(へそ)ヘルニアとは

おへその部分が膨らんだ状態、いわゆる出べそになった状態のことです。
症状が軽ければそれ以外の異状は現れませんが、腸管の一部が入り込んで重症化することもあります。
おへそが熱っぽくなってくると危険のサイン。
血行が滞りショックを起こしたり、嘔吐や腹痛などで食欲不振になり、元気がなくなります。
これも悪化すると腸閉塞を引き起こします。
原因はお腹が強く圧迫されたり、「へその緒」を切断したあとでへその穴のすき間が広がることのようです。

(3)会陰(えいん)ヘルニア

肛門周り(会陰部)の筋肉にできた隙間から、お腹の中の臓器が飛び出してしまう病気。
肛門周りが腫れ、便秘や排便困難を引き起こします。
痔に近い症状ですね。飛び出した臓器が膀胱であれば排尿障害が起きます。
このヘルニアは主に骨盤隔壁において肛門周りの筋肉が弱くなることによって発症します。
男性ホルモンの影響や腹圧の上昇、筋力が低下する病気などが関係すると考えられますが、まだ分かっていない部分も多いようです。

(4)食道裂孔(しょくどうれっこう)ヘルニア

食道裂孔ヘルニアは、横隔膜に開いた穴である食道裂孔から胃が飛び出してしまうものです。
食道裂孔は血管や食道などが通るように開いた穴のことです。
この食道裂孔が先天的に大きかったり形成不全が起きていたりすると、胃がこの穴から飛び出してしまうのです。
肺の圧迫によって呼吸が苦しくなる他、食欲不振や嘔吐、食道炎になることも。
さらに心臓が圧迫されてうまく拍動することができなくなることもあり、深刻な呼吸困難を引き起こす可能性もあります。

(5)椎間板ヘルニア


最もトイプードルがかかりやすいヘルニアです。
首から腰にかけて背中にある背骨は、一つの長い骨ではなく、小さな骨が一直線に並んでできています。
その骨と骨の間にあるのが椎間板(ついかんばん)です。
この椎間板があるおかげで、腰を曲げたり伸ばしたり、ひねったりすることができるのです。 

椎間板ヘルニアは、この椎間板が変性して、飛び出してしまうことが原因で起こります。
飛び出た椎間板が、背骨の中を走っている神経の束「脊髄」を圧迫することで、痛みや麻痺などの症状が出てきます。


こんなサインが出たら注意!動物病院を受診しましょう

 
  • 運動を嫌がる
  • 寝ている姿勢からスムーズに起き上がれなくなる
  • 歩き方がおかしい
  • お気に入りのソファに上がらなくなった

3.椎間板ヘルニアの治療は?



軽度の場合は投薬と絶対安静になります。
ヘルニアの症状が悪化しないよう、ゲージから出さない、散歩にも行かないといった運動制限と同時に、肥満が原因の場合は食事制限を行って減量をします。
この時期に悪化させてしまうと半身不随になることもあります。

重度は手術によって飛び出した髄核を物理的に除去していきます。
この際に獣医師さんから再発を含めたリスク等の説明を受けて、最終的な判断は飼い主さんに決めてもらう場合が多いそうです。


4.なぜトイプードルはヘルニアになりやすいのか?

DNA

・ホルモンの関係で椎間板が若いうちから変性を起こし、負担がかかるため、3~6歳の比較的若いうちから椎間板ヘルニアを発症しやすい。

トイプードルは5種類のヘルニアのうち、椎間板ヘルニアになりやすい犬種といわれています。
またトイプードル以外にも、ミニチュアダックスフントやペキニーズなどの小型犬は若いうちから椎間板ヘルニアを発症しやすい特徴を持っています。
彼らは「軟骨異栄養症犬種」と呼ばれていて、先ほど説明に出てきた「軟膏異栄養症」を発症するリスクが他の犬種より遺伝子レベルで高いのです。

椎間板ヘルニアには2種類の分類があります。
椎間板内の背側にある線維輪が裂け、そこから内部の髄核が飛び出して脊髄を圧迫する「ハンセン1型椎間板ヘルニア」と、加齢に伴う疲労によって線維輪の内層が断裂しその中に髄核が入り込むことで脊髄の圧迫を引き起こす「ハンセン2型椎間板ヘルニア」です。
トイプードルたちは「軟骨異栄養症犬種」といって、軟骨の形成不全で骨が発育されないことにより
骨が短くなる遺伝子を思っています。
この遺伝子を持っていると、「ハンセン1型椎間板ヘルニア」が起こりやすい犬種だと言えるので、若いうちから他の犬種以上に健康管理と対策に気をつけなければなりません。

もちろん老化が進めば「ハンセン2型椎間板ヘルニア」のリスクも高まってくるので、より一層細やかなケアが必要です。

5.ヘルニアにならないためにはどんな対策が必要か?

毎日の生活の中で実践できる予防方法です。

(1)床を滑りにくいものにする

犬に優しい環境
まずリビングなどのトイプードルが生活するお部屋の床を滑りにくいものにしてあげることが必要です。
床が滑りやすいとトイプードルの足や腰に負担をかけてしまうので、背骨にダメージが蓄積してしまいます。
フローリングの床にはマットやカーペットを敷いて、歩くのに滑りにくく負担がかからないような環境になるよう気を配ってあげてください。

(2)階段などの上下運動をさける

ペットのスロープ
上下運動も骨に大きな負担をかけてしまう要因の一つ。
できるだけ階段や段差を上り下りしなくてもいい、あるいは上り下りさせないような生活環境を整えましょう。
意外なところではソファーなどの上り下りも大敵です。できるだけ高いところに上がらないようにしつけてあげるか、あるいは柵などでバリケードを作って上らせないようにします。
ホームセンターなどで売られている赤ちゃん用の柵などを使って工夫してみましょう。
飼い主のひざの上に乗りたくて座っているところへ上がってきたら、すかさず抱き上げて乗せてあげること。
下りるときも自分から飛び降りないよう、きちんと抱っこして下ろしてあげてください。

(3)肥満にならないように管理する

体重計にのるトイプードル
そして、体重管理も重要です。
肥満気味のトイプードルは背骨や関節に負担がかかりやすいので要注意。
栄養バランスに気をつけた食事を適度に与えることが大切です。
かわいいからといっておやつばかりあげてしまっては肥満一直線です。
肥満が引き起こす健康リスクは何もヘルニアに限ったことではなく、太りすぎが健康の大敵なのは分かりきったことです。
だからと言ってやせすぎも困りもの。
きちんと体重の変化に気を配ってあげることで、大切な愛犬の健康を守りましょう。

肥満については、こちらの記事も参考にしてみてください。
トイプードルは何キロだったら肥満になるの?愛犬の肥満度チェック!

(4)抱き方にも注意する

抱っこされるトイプードル

抱っこの時にワンちゃんの腰を曲げてしまうような抱き方だと、背骨の負担になります。
正しい抱き方は片方の手を犬の胸のあたりを手でささえ、もう片方の手または腕で腰をサンドするようにして水平になるように抱えるようにします。

まとめ

椎間板ヘルニア以外のヘルニアも先天的な遺伝子異状などがきっかけで引き起こされるので、トイプードルにもまったくの無縁というわけではありません。
常日頃から愛犬の様子をよく観察して、何か異常があると思ったらすぐかかりつけの動物病院で相談してください。
ヘルニアは早期発見によってリスクを軽くすることができる病気なのです。
トイプードルはヘルニアを発症しやすい犬種ですが、しっかりとした対策によって予防することが可能です。日ごろから意識してケアしてあげましょう。

椎間板ヘルニアの治療の成功率などはこちらの記事はこちらをご覧ください
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